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齋藤 健太郎弁護士ブログ

今年を振り返って

2018.12.31 [ 齋藤 健太郎 ]

年の瀬ということで,1年を振り返ってみたいと思います。
今年は総じて,とても忙しい1年でした。
毎年同じようなことを言っていますが,今年は特に忙しかったように感じます。
医療事件の証人尋問が8月と12月にあり(別の事件です),これも業務を圧迫しました。準備のために多大な時間を要するため,ほかの仕事がどうしても前後に集中してしまいます。もちろん準備期間は大変ですし,尋問後はしばらく頭からその事件のことが離れません。やれることを全てやっただろうか,より良い尋問方法はなかっただろうか・・・などと考えてしまいます。
刑事法基礎ゼミという授業を北大ロースクールで持つようになりましたが,この準備が結構大変でした。
試験を受けてからすでに12年以上経過していることもあって,学説なども変わっており,改めて勉強しなければなりませんでした。
ただ,今年は事件としてはとても良い結果を残せたものが多かったと思います。
多くの事件で,勝訴判決を得たり,勝訴的な形で和解をすることができました。
医療事件としては,最高裁に継続して確定した医療事件,地裁で勝訴し,高裁で増額してもらった医療事件(最高裁継続中),長期間の交渉を経て高額(1億以上)で訴訟前の和解ができた医療事件,その他複数の医療事件で和解をしました。
交通事故でも多数の事件で和解をしましたが,訴訟事案では,いずれも後遺障害の等級を上げることができたり,非該当であったものを後遺障害等級ありとして和解ができたものでした。
4〜5年くらいやっていた保険金請求事件でも,1審は敗訴したのですが,控訴審で十分な金額で和解をすることができました。大変な事件でしたが,敗訴のままで終わらなかったことに安堵しています。
新たに顧問をさせて頂くことになった会社も複数あり,会社からの相談も色々と幅が出てきました。
契約書チェックや労務関係の相談が多いですが,売掛金の回収や労災事故の損害賠償請求をされる事案なども増えています。
個人的に嬉しかったのは,依頼者の方が離婚後に長期間会っていなかった子どもに会うことができたという事件です。
これは私の力でだけで実現したわけでは必ずしもありませんが,本当に良かったと思いました。
その他,離婚,相続,不動産など多種多様な事件を担当させてもらいました。
弁護士になってから12年くらい経ちますが,いくらやっても楽になったり,簡単に処理できるようになるということはありません。
そして,皆さんに頼ってもらえるのは嬉しいことですが,その分責任を感じて,たまに押しつぶされそうになることもあります。
やはり円満な家庭生活と健康な肉体と精神が,いい仕事をするための基礎だということを痛感しています。
5月の洞爺湖マラソンまではかなり走り込んでしっかり完走したのですが,洞爺湖マラソンがあまりに辛かったのでマラソンが嫌になり,ほとんど走らなくなっていまいました・・・。これは一番の反省です・・・。少しだけテニスと山登りをした程度なので,かなり太ってきました。
一方,今年からスタンディングデスクを導入しています。できるだけ立ちながら仕事をしています。
健康の維持にもなりますし,緊張感を保てるので仕事もはかどるような気もします。
さて,かなりダラダラと書いてしまいましたが,今年も皆様,色々とありがとうございました。
来年の抱負は来年にまた・・・。

医療事件で勝訴判決が確定しました。

2018.11.23 [ 齋藤 健太郎 ]

長いこと担当していた医療事件で,先月10月にようやく最高裁で上告受理申立不受理決定が出て,勝訴が確定しました。

判決は4060万6646円及びこれに対する平成20年9月9日から年5分の利息の支払いを命じるというものです。

胸痛や胸やけを訴えて病院を受診した患者さんが,心電図を取ってもらったものの異常がなく,医師は逆流性食道炎だとして帰宅しましたが,その後,再度胸痛が出て夜間に同じ病院を受診しました。しかし,心電図もとってもらえずにそのまま数時間後に心臓不整脈が出てお亡くなりになってしまいました。
解剖の結果,心臓の血管(冠動脈)が血栓で閉塞している状態が確認されたことから,不安定狭心症(心筋梗塞の一歩手前のような状態)だとされました。
再度来院したときに心電図を取っていれば異常所見が出て,転送されることによって救命されたのではないか,その点に医師の過失があるのではないか,というのが本件の問題点です。
一審では敗訴しましたが,控訴審では逆転の勝訴判決を得ました。
病院側は和解に応じずに最高裁に上告受理申立というものをしましたが,それは通りませんでした。
ご家族には大変喜んで頂きました。
私としては嬉しいという気持ちはありますが,それよりも安堵の気持ちの方が強いです。
この事件は事故から解決まで10年以上が経過しています。
もっと早く解決されるべき事案だったと思います。
現在,もう1件最高裁に継続している医療事件がありますが,その結果が出ましたらまたご報告させて頂きます。
諦めず,粘り強く,考え抜いて,ベストを尽くしていきたいです。

自賠責非該当の事案で後遺障害等級14級前提の和解をしました。

2018.11.22 [ 齋藤 健太郎 ]

この方は事故で転倒して,手の指を怪我した後,中指の痛みが取れない状態が続いておりました。

自賠責では非該当となってしまったため,画像所見を中心に,靱帯損傷があることを立証し,後遺障害等級14級を前提とした裁判上の和解をすることができました。
この事件では,最初に手の外科の専門医に診断してもらうようにアドバイスし,そこで撮影したMRIが重要な証拠となりました。
また,そのMRIについて放射線科専門医の意見をもらうことによって,説得力のある主張をしていくことができたと思います。

当事務所の交通事故判決紹介(自賠責認定14級→両股関節唇損傷併合11級)

2018.02.09 [ 齋藤 健太郎 ]

平成29年1月に札幌地裁で私の担当してきた交通事故の判決がありました。
賠償額元本845万2083円が認められています。
過失相殺の割合,股関節・膝の後遺障害の有無,後遺障害等級の程度,逸失利益の労働能力喪失率などが争いになりました。
最初から相手保険会社が治療費を支払わなかったため,自賠責の被害者請求により治療費を支払って対応しました。
後遺障害についても被害者請求を行い,14級と認定されています。
こちらも控訴し,相手も控訴したようですので,詳細は改めてということにしますが,股関節唇損傷の後遺障害を12級と認定し,さらに両股関節ともに認定して併合11級とした裁判例は他にないのではないかと思います。
股関節唇の断裂は,MRIで診断可能ですので,交通事故後に損傷の疑いがある場合には早い時期に撮影することをお勧めします。
この事案は,整形外科で,「股関節唇損傷疑い」という診断は受けていましたが,実際にMRIを撮影したのは相当期間経過した後という特殊性がありました。
さて,第2ステージも気を抜かずに頑張ります。

今年1年を振り返って

2017.12.31 [ 齋藤 健太郎 ]

今年も様々なことがありました。
一番大きかったのは,齋藤健太郎法律事務所から弁護士法人創知法律事務所となったことです。私にとってはこれまでの自分という枠を飛び出して,新たな仲間とチャレンジをするということであり,勇気のいる決断でした。
その結果,信頼できる仲間が増え,事業承継,M&A,海外業務など幅広く対応できるようになりました。また,東京,大阪の拠点があることから他の地域の事件も受任しやすくなりました。
その他にも,今年は,長く対応していた交通事故の和解が2件成立し,医療事件の判決があり,裁判員裁判を担当しました。企業が高額の賠償を求めている難しい事件にも控訴審から誘って頂き,無事,和解にまで至りました。
どの事件も決して手を抜かずに,精一杯取り組んできたという自負はあります。弁護士としてやり甲斐のある事件を担当できるというのは,幸せなことだと感じています。
新たに顧問会社となって頂いたところもございます。障がい者福祉サービスを提供されている会社,児童デイサービスを運営している会社,医療福祉関連施設の設備を提供されている会社,建設業をされている会社などです。ご期待に沿えるよう迅速かつ的確な対応をしていきたいと思います。
プライベートでは,娘が小学校に入学しました。幼稚園の息子にはテニスを教えていますが,なかなか思うようにうまくなりません。むしろ,本や漫画が大好きで,近眼になってしまいました・・・。これからに期待しましょう。
さて,来年は思いつくだけでも長く担当していた事件で三つの判決を予定しています。いずれも結果がどうであれ控訴される(またはする)ことが確実な事案です。いずれの仕事であっても依頼された方にとって頼んで良かったと思われるようベストを尽くしたいと思います!
来年も宜しくお願い申し上げます!

弁護士法人創知法律事務所設立について

2017.06.05 [ 齋藤 健太郎 ]

5月1日から当事務所の名称がいきなり変わりました・・・。

当事務所は,私が齋藤健太郎法律事務所として設立してから,二人の弁護士が加入して参りましたが,今回,縁あって,大阪・東京の弁護士とともに弁護士法人を設立することになりました。
特に,どこかに吸収されたというわけでもありませんし,乗っ取られたということでもありませんのでご安心下さい笑
基本的には札幌は独立して活動しつつ,東京・大阪とも連携してサービスを提供していくというイメージです。
正直,私の名前でずっとやってきたので,名前が無くなってしまうことには少し抵抗がありましたが,組織として幅広いサービスを提供するためには,地域としても,また,業務分野としても,小さくまとまっていてはならないと思い,このような決断をしました。
この度の法人設立により,個人のお客様に対しても,法人のお客様に対しても,より良いサービスを提供できることを確信しております。
なお,大阪オフィスの藤本弁護士は,中国法務,アメリカ法務等の渉外業務に精通しておりますので,渉外案件がございましたら遠慮なくご相談下さい。
私個人としても,顧問会社に対するより充実したサポートを心がけるとともに,これまで注力してきた医療事故,交通事故,福祉分野,遺言相続などについて,より専門性を高める努力を続け,皆さんに信頼される弁護士法人を作って行きたいと考えています。
皆様におかれましては,今後ともご指導,ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
なお,このウェブサイトは引き続き残していきたいと思っています!
近々リニューアルする予定ですので,こうご期待。

「問題ない」

2017.04.03 [ 齋藤 健太郎 ]

メディアの力がないのか,日本人の力がないのか

問題だと思うことや,不合理だと思うことも
「問題ない」
というだけで問題なくなってしまうなんて気がしてしまいます。
裁判でも
「否認する」
「不知」
という回答があって,主張責任・立証責任を負うものが証明しなければならないので,この二つの対応だけでも裁判の対応としては成りたつわけです。
しかし,どうしても説明がなければおかしいところや,説明がないことが不利益に理解されることも多いわけで,それだけで勝てるほど甘くはありません。
それなりに証拠や説明が出てきたときには無視できなくなるのです。
政治であればなおさら主張責任や立証責任というものでは解決しないため,より説明が求められることになります。
資料がないから仕方ない,なかったことを証明するのは悪魔の証明だ,などというのは本質からずれているでしょう。

偽証罪・・・

2017.03.26 [ 齋藤 健太郎 ]

例の籠池さんの証人尋問では,偽証罪になるとかならないという話がありますが,弁護士的な感覚からは,そんな簡単に偽証罪になんかなるはずないじゃん・・・と思ってしまいます。

証人が嘘を言うなんてことは民事裁判の世界ではよくあることです。
というか,だからこそ事件が起きて複雑になります。
問題は,それが嘘である(記憶に反している)ということをどうやって立証するかなのです。
客観的事実に反することを明らかにしたうえに,証人が記憶に反して証言したということまで証明するのは大変なことです。
証人尋問の途中で記憶をただされて,そうだったかもしれませんといえば,それは記憶違いだったということになります。
私は証言をほとんど見ていませんが,吐かせようとする尋問で吐かせられるようなものではないというのが通常です。
人間は嘘をつく動物なのだということを最近よく思います。
子どもの頃から嘘はついてはいけませんと教えられつつ,なんだかんだいって,大人になるということは嘘の付き方がうまくなるということでもあるという複雑な世界ですよね。
思ったことをみんなが口に出していたら世界は崩壊してしまいますよね。
まあ,当然,私は嘘をついかことなどありませんが。
というよくあるオチでさようなら。

逆転の決定をもらう

2017.03.21 [ 齋藤 健太郎 ]

専属的合意管轄というものがあります。
相手から移送を申し立てられた事件があります。
こちらが札幌地裁に訴えを起こしたところ,契約書にはどこの裁判所で裁判をやるかについて約束があるから,そこに送るべきだという移送の申立というのがなされました。
第1審の決定では,移送が認められてしまいましたが,高裁では移送は認められない(札幌で裁判してよい)という結論が出ました。
これで依頼された方の負担を少なく裁判を行うことができます。
現在では電話会議というシステムがあるので,必ずしもいかなくとも裁判はできるのですが,そうはいっても何回かは代理人弁護士が出張して出廷しなければならず,証人尋問の際には証人も行くことが多いです(ビデオリンク方式での証人尋問もできますが)。
やはり近い場所で裁判を行う利益と遠い場所で裁判を行う不利益は無視できないといえるでしょう。

嘘をあばくこと

2017.03.20 [ 齋藤 健太郎 ]

世の中は森友問題で大変な騒ぎになっていますね。

次から次に新たなネタが飛び出てきて,飽きさせません。
アッキーネタなのに。
本当に100万円を安倍首相から学園がもらったのか。
そんなことが一つの争点になっているようです。
問題は,およそ8億円安く土地を買ったことではなかったのかと思うのですが,もはやそれどころではありません。
しかも,呼ばれるのは,籠池氏のみで,他の関係者は呼ばれないということのようです。
さて,この人が出てくることは,どちらに有利に働くのでしょうか。
1 ウソをついているのであれば,それを暴くことができる。
2 ウソをついていないのであれば,真実が証明される。
というような分かりやすい図式にはなりませんよね。
その日に100万円を渡すことがあり得ないという客観的な証拠を突きつけることができれば話は違うかもしれませんが,そうでなければ,突然ウソを認めてごめんなさいはしないでしょう。
偽証罪の制裁があるから真実がわかるかのように期待する意見もありますが,そんなに甘くはありません。
裏付けが取れないと確信があれば,人間は偽証罪をおそれずにウソをつくこともあると思います。
逆に,ウソをついていなくとも,緊張・動揺・怒りなどに強く影響されて,いかにもウソをついているかのように見られることもあるでしょう。
しかし,これはウソが暴かれるということではなく,ただそう見られるということに過ぎません。
堂々と自分のストーリーを説明しても,それが一貫して合理的なのであれば,それなりの価値を持つと思います。
しかし,客観的な証拠の裏付けがない証言であれば,その価値は限定的にならざるを得ないでしょう。
そうなると最終的によくわからないということになる可能性が高いように思います。
それは一体どちらの不利益になるのでしょうか?
裁判であれば,判断権者がいて,証明責任というもので解決を図ります。
つまり,どちらかの側に不利に判断するということがあらかじめルール化されています。
しかし,これは裁判ではありませんので,事実認定のルールはありません。
だれが判断するという類いのものでもありません。
私は,わざわざ呼んだのにウソを暴くことができなかったとなれば(本当かもしれませんがわかりません),呼んだ与党側に不利益なのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

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